一勝地曲げのお雛様と、春の背筋|人吉温泉しらさぎ荘 女将の徒然日記

一勝地曲げのお雛様。
木のやわらかな佇まいが、館内に春を運びます。
館内に、一勝地曲げのお雛様を飾りました。
木のやわらかな曲線。
凛とした佇まい。
人吉球磨地方に伝わる一勝地曲げ。
匠の技。
杉を蒸し、しなやかになった木を、
少しずつ曲げ、形を整えていく。
力で押さえ込むのではなく、
木の性質を見極めながら、
時間をかけて仕上げられる手仕事。
その在り方に、私はいつも心を惹かれます。
近づいて見ると、
十二単のやわらかな重なりが、丁寧に表現されています。

木で表現された十二単の重なり。 匠の技が静かに息づいています。
木でありながら、
布のようなやさしさを感じさせる曲線。
強さと、しなやかさ。
その両方が宿っていることに、
ふと、背筋が伸びる思いがしました。
宿を営む日々の中で、
背筋を伸ばす場面と、
やわらかく受けとめる場面のあわいに立つことが多くなりました。
どちらかだけでは足りない。
このお雛様は、
その静かなバランスを、そっと教えてくれているようです。
ひな祭り。
いつのまにか、守られる存在から、
守る側へ。
それでも私は、まだ成長の途中。
蒸され、曲げられ、
少しずつ形を整えられていく木のように、
しなやかに。
今日もしらさぎ荘には、
穏やかな春の光が差し込んでいます。

ほころび始めた梅の花。春は、静かに歩みを進めています。
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